2014年4月19日土曜日

憧れの火打山-焼山北面大地を滑降

4月16日(水)・17日(木)

 火打山の頂上2461mから焼山北面大地を経て笹倉温泉450mまで、標高差2000m、水平距離12km、
本邦屈指の山スキールート。いつかは滑りたいと憧れていたそのルートに4月中旬に狙いを定めていた。
4月の第2週末前から帯状の高気圧が連続して通過して長く天気が安定している。週間予報をチェックしていると
第3週末まではそのパターンは続かないことが判明。木曜日までは間違いなくお天気はいい。
気温は高めで雪も柔らかめだろう。
お天気に合わせ、思い切って休暇を取ることにした。

八甲田修行のKさんと陣中見舞い組のUさんと僕の3人組。
このコース、今は1dayでやるのが当たり前みたいになっているが、足の遅い我々は高谷池ヒュッテの冬季小屋に泊まり確実化を図った。

16日(水)

Uさんが4時に家に来て、Kさんと待ち合わせの笹倉温泉に向かう。06時半、小布施SAでラジオ体操。
笹倉温泉08:15分着。能生の道の駅で車中泊したKさんが待っていた。Kさん車を置いて、笹ヶ峰にとって返し、10:10着。
火打山登山口の駐車場の除雪が終っていてその中央部に駐車。支度をして10:40出発。
黒沢の橋を11:05に渡り、十二曲りには入らずその奥の沢上の急斜面を黒沢を分ける尾根に登り上げる。
この急登でKさんの足が攣りはじめ騙し騙しの登高になり、尾根上1900mで15:00、富士見平、黒沢岳のトラバースを経て、高谷池着は17:30になってしまった。幸いお天気は良く、ギリギリ明るいうちに小屋入り。単独のテレマーカーが入舎していた。
高谷池ヒュッテは3階が冬季避難小屋として解放されている。西側の外壁を急な梯子で登る。寝具(布団)もあり快適。水は雪を溶かし作るが雪取り用のバケツや外出用の長靴が用意してある。用足しは外が基本だが暴風雪時用に携帯トイレ用具も置いてあった。運営者は妙高市観光協会だが気配りが行き届いていてありがたいことである。
三者三様にガスでお湯を沸かし携帯食で夕食を取り、20時前には就寝した。

17日(水)

約束したように晴天の朝が来た。前日強かった春霞も薄れてよく山が見える。気温も氷点下までは下がらなかったようだ。
スキー滑降は雪が少し緩んだ方がいいので11時頃からの滑降を考慮して、07:05出発。
想定通り09:50、火打頂上着。シール登高が肢に負担になるというKさんはスキーを担いで20分ほど遅れて到着。
この二日間、大きな高気圧覆われて安定した天気だが高気圧の北の縁あたりあたり、″ヤマテン″の予報通り風がやや強い。頂上でコンスタントに12、3mは吹いていたかもしれない。それでも春の風であり、震えることもなく、写真を撮り、腹ごしらえをし、滑走準備をした。
満を持して10:40、頂上発。まず影火打のコル(2350m)に慎重に下降。そこから高い位置を斜滑降で影火打の北斜面へ滑り込んだ。日影になった斜面がカリカリでちょっとばかり緊張。数日前に下降した数本のトレースが薄っすら残っておりルートファンインディングを助けてくれる。そこから北面大地へ下降する沢状の地形を少し下りた日当たりのいい場所で一本(2250m)。そこは風もなく気持ちのいい場所で、もう少し雪が緩んだ方が気持ちよく滑れるかと思い、なんやかんや駄弁ってゆっくりした。焼山山頂下の噴気孔から水蒸気が吹き出るジェット音が時折響いていた。
そこからは快適な幅広い沢を快適に滑り、次のポイントとなる隣の沢への踏み替え点に到達(2100m辺り)。滑ってきた沢が狭くなり始めたころ現れる右手の平らな小尾根で、比較的明瞭。踏み替えて行く先の沢はかなり傾斜が急でルンゼ状をしている。火打に登る時の登路にもなる沢だがここをシールで登り上げるのには相当の登高力が必要だ。このルンゼを下り、焼山から下りてくる沢に当たった所で一本(1750m)。
そこからはハーフパイプ状の沢を下っていくが雪も緩みザラメが快適。そのまま1400m辺りまで沢芯を進むのかと思っていたら1600mあたりでスキートレースが左の台地に上がっていっている。それに従うようにルートを取ると焼山から下りてくる次の沢も上手く越すことができ、やがて深い″賽の河原″と呼ばれる沢にぶつかり、それを唯一乗り越せる1350m地点までゆっくりスキーを滑らせた。1350地点で賽の河原の沢芯までスキーで下り、そこから壺足で10mあまりの急斜面を登って対岸へ渡ることができた。ここで大休止。
広大な北面大地の雪原のまん真ん中、火打山北面と焼山北面が大迫力で見え素晴らしい山岳風景である。
笹倉温泉までの滑降はほぼこれで勝負がついたが、でもまだ標高で900mも残っている。
アマナ平に出る前で地図では読みにくい複雑な地形にちょっと神経を使い、その後沢筋にガスが湧いて眺望がなくなりルート取り苦労したが、いずれもわずかに残っていたスキートレースに助けられた。最後のつずら折れの林道は最後まで雪が繋がっていて、火打山川に架かる橋の袂まで滑りこむことができた。15:10、滑走終了。笹倉温泉まで残りの数百mをスキーを担いで歩いた。

当然笹倉温泉に入湯、汗を流した後、Kさん車で笹ヶ峰に戻ると18:00を回っていた。
信濃町で上信越道に乗り、松代で掛けそばで小腹を癒し、帰宅すると22時10分だった。



焼山北面大地に滑り込み火打山(中央)、影火打(右)を見上げる
下りてきたのは影火打のすぐ下を右下に走る沢のライン

笹ヶ峰の駐車場
ちょうど除雪が完了したところ 

 
左:十二曲りの奥の沢の急斜面で苦戦中のKさん 右:高谷池ヒュッテが見えてきた 

左:07:00 小舎のライブカメラの映像 右:天狗の庭からの火打山

進む二人

火打山山頂
バックは焼山(左)、昼闇山(右下)

これが焼山北面大地の滑降ルートだ!
標高差2000m、距離12km

影火打裏で一本
焼山から見た影火打滑降ルート、乗り換え地点がよく分かる(参考写真)
 
左:乗り換え地点のKさん  右:乗り換え地点から下りていく沢を見下ろす 結構急である
   
左:急な沢の最後の部分   右:影火打の滑降を終え北面大地に出るところ
 
左:賽の河原 深くえぐれている 1350m付近が渡り越せるポイント  左:賽の河原を乗り越えて勝負あり!

笹倉温泉が見えてきた
 

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